ベジマイト(Vegemite)。オーストラリアに住み始めた頃は、その名前を聞いただけで渋い表情をしていた私も、15年近く経つ現在は時々無性に食べたくなる味です。
個人的には奈良漬の風味に近い部分があると思うのですが、こげ茶色で独特の匂いがし、そのまま舐めると苦くてしょっぱい。 初めて食べた時の衝撃は今でも覚えています。
謎の発酵食品「ベジマイト 」ってなに?
ベジマイトの歴史は長く、第一次世界大戦の影響でイギリスのマーマイト(Marmite)の輸入が途絶えていた1922年に若い化学者によってビール酵母から開発され、翌年に発売されたのが始まりです。
90年以上経った現在、メルボルン州のポートメルボルンにある製造施設では毎分235瓶のベジマイトの生産が可能だそうです。
そして一年に売れるベジマイトは2200万瓶を超えるとのこと。
発酵食品なのでビタミンB群(B1、B2、B3)に豊富で、その栄養価の高さも有名です。
- 脳機能に欠かせないチアミン
- 神経系をサポートするリボフラビン
- 食物栄養素がエネルギーとなるのに欠かせないナイアシン
- そして疲労と戦うのを助ける葉酸
元気に一日をスタートするのにはもってこい! 多くのオージーがベジマイトとバターを塗ったシンプルなトーストを朝食に食べるのも納得できます。
このベジマイトトースト(パンあるいはビスケット)は一年に12億食も食べられているそうです。
薄く塗ったベジマイトからは成人の一日に必要なビタミンBの四分の一から二分の一が摂取可能。
また、嬉しいことにベジマイトは脂肪分なし。約小さじ一杯(5g)でたったの8.6kcalしかありません。
このようにオーストラリアでは子供から大人まで人気があり定番のベジマイトですが、他国では苦手な人が多く誤解されがち。
ベジマイトを塗る時はless is better(少ないほど良い)と言われていますが、そのチョコレートのような見た目から、トーストにたっぷりと塗って食べてしまいビックリする人も少なくないようです。
オージーにとってベジマイトとは「日本人にとっての納豆」のような存在なのかもしれません。
ベジマイトを旅行のお土産でもらったけれど、どうしていいか分からず棚の奥にしまったままという人もいるのではないでしょうか。
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ベジマイトを少しでも身近に感じてもらえるようなお手軽なレシピを5つ紹介したいと思います。
アボカドとチーズのベジマイトホットサンド
材料(1人分)
- 食パン 2枚
- ベジマイト 少々
- アボカド 1/2個
- ピザ用チーズ 適量
- 作り方
1. 一枚の食パンにベジマイトを薄く塗り、フォークで軽くマッシュしたアボカド、ピザ用チーズを乗せます。
2. もう一枚の食パンを1の上に乗せ、ホットサンドメーカーで外側がこんがりするまで数分焼いて出来上がりです。
これは私が一番好きなベジマイトの食べ方です。
ベジマイトとチーズやベジマイトとアボカドを合わせる人は多いのですが、チーズとアボカドを両方入れる人はあまりいないようです。
「えっ?」と言われることが多い組み合わせなのですが、ベジマイトのしょっぱさがトロッとしたチーズとアボカドのマイルドさと合わさり絶妙な美味しさを引き出します。
サクッとした食パンの外側もたまりません。
ベジマイトピザトースト
材料(1人分)
- 食パン 1枚
- ベジマイト 少々
- たまねぎ 1/8個
- ソーセージ 1本
- パプリカ 1/4個
- ピザ用チーズ 適量
- 卵 1/2個
作り方
1. たまねぎ、ソーセージ、パプリカは薄くスライスします。
2. 食パンにベジマイトを薄く塗り、たまねぎ、ソーセージ、パプリカ、ピザ用チーズを乗せ、最後に軽く溶いた卵をかけます。
3. 2をトースターで卵に火が通り、チーズに焼き色がつくまで焼いたら出来上がりです。
ベジマイトのホームページで紹介されているピザのレシピをアレンジした、トマトソースの代わりにベジマイトを使ったピザトーストです。
ベジマイトと卵はとても相性が良くまろやかな味になるので、ベジマイトが苦手な人でも楽しめると思います。
さらにマイルドにしたい場合は、マヨネーズを乗せてもいいかもしれません。
ピーマン、トマト、ハム、マッシュルームなど、冷蔵庫にある好きな具材を使って自分好みのアレンジができます。
ホットサンドメーカーを持っていなくても小腹が空いた時に簡単に作れるのでオススメです。
ベジマイトスパゲティー ルッコラ添え
材料(1人分)
- スパゲティー 100g
- 無塩バター 15g程度
- ベジマイト 小さじ1/2程度
- パルメザンチーズ 適量
- ルッコラ 適量
- オリーブオイル お好みで少々
作り方
1. スパゲティーは塩を加えた熱湯で表示通りに茹で、ザルにあげて軽く水気を切ります。
2. スパゲティーを茹でた鍋に大さじ1程度の茹で汁を残し、バター、ベジマイトを加えて弱火にかけながら混ぜ、そこにスパゲティーを加えてソースを全体に絡めます。
3. お皿に盛りつけ、パルメザンチーズをたっぷりかけ、ルッコラを添えて、お好みでオリーブオイルをかけたら出来上がりです。
イギリスの料理研究家ナイジェラ・ローソンのレシピをアレンジしたもの。
ベジマイト、バター、そしてチーズという最強のコンビネーションは癖になる味!
バターやベジマイトの量は好みに応じて調節が可能なので、自分のお気に入りの比率を見つけることができます。
私はルッコラを合わせた時の辛味と苦味のアクセントが好きなのですが、苦手な方はベビースピナッチなどで代用も可能です。
パスタはペンネなどの違う種類でももちろん構いません。仕上げにオリーブオイルをかけることで風味が増し、さらに美味しくなります。
時間がない時はスパゲティーが熱いうちにバターとベジマイトをボールの中でさっと全体に絡めるだけでも十分美味しいですよ。
チーズとベジマイトのミニスクロール
材料(6個分)
- 薄力粉 130g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- 塩 少々
- バター 15g
- 牛乳 125ml
- ベジマイト 大さじ1
- ピザ用チーズ 50g
下準備
1. 薄力粉、ベーキングパウダー、塩は合わせてふるっておきます。
2. バターは室温に戻しておきます。
3. オーブンは200度に予熱しておきます。
作り方
1. ボールに粉類とバターを入れ、手でバターをつぶしながらよく混ぜ合わせます。
2. 牛乳を加え、ゴムベラを使って柔らかい生地を作り、手で優しくこねてまとめます。
3. 軽く薄力粉を振った台の上で、棒を使って生地を20cmx20cmの正方形に伸ばします。
4. ベジマイトを生地全体に薄く塗り、その上に三分の四のチーズを乗せます。
5. ロールケーキを巻く感覚で生地を下からくるくると巻き、6等分にカットします。
6. ベーキングペーパーを敷いたトレイに間隔をあけて並べ、残りのチーズを上にかけます。
7. 予熱しておいたオーブンで15分から20分焼き、表面に焼き色がついてチーズがこんがりしたら出来上がりです。
ベジマイトのホームページで紹介されているレシピを参考にしました。
チーズが伸びる、焼きたてあつあつが一番美味しいです。外はサクッ、中はふわふわ。
ベジマイトとチーズはオーストラリアでは言わずと知れた大人気の組み合わせ。どこかほっとするシンプルな味です。
お好みでハム、たまねぎ、コーンなどを入れるアレンジもオススメです。
ベジマイトチョコレートマフィン
材料(6個分)
- 卵 1個
- 黒砂糖 50g
- ベジマイト 30g
- 牛乳 60ml
- 無塩バター 35g
- ダークチョコレート 50g
- 薄力粉 90g
- ココアパウダー 大さじ1
- ベーキングパウダー 小さじ1/2
下準備
1. バターは湯せんで溶かし冷ましておきます。
2. 砕いたチョコレートは湯せんで溶かし冷ましておきます。
3. 薄力粉、ココアパウダー、ベーキングパウダーは合わせてふるっておきます。
4. オーブンは180度に予熱しておきます。
作り方
1. ボールに卵、黒砂糖、ベジマイトを入れ、泡立て器でもったりとしたクリーム状になるまで混ぜます。
2. 牛乳と溶かしたバターを加えて混ぜます。
3. 溶かしたチョコレートを少しずつ加え、その都度なめらかになるまでよく混ぜ合わせます。
4. 合わせておいた粉類(薄力粉、ココアパウダー、ベーキングパウダー)を加え、粉っぽさがなくなるまでゴムベラで混ぜます。
5. 生地をスプーンで型に流し入れ、予熱しておいたオーブンで20分から25分焼き、竹串を刺して生地がついてこなかったら出来上がりです。
5分程度型の中で休ませ、その後型から出しケーキクーラーの上で粗熱をとります。
このマフィンはNew Idea Foodのベジマイト塩キャラメルチョコレートカップケーキのレシピをアレンジしたものです。
「ベジマイトとチョコレート?!」と思う人もいるかもしれませんが、しっとりとしたダークチョコレートの生地に程よいしょっぱさを感じ、塩チョコレートや塩キャラメルが好きな人にはオススメの味です。
もちろんベジマイトの量はお好みで調節可能。ベジマイトと言われなければわからないくらいの塩っけなので食べやすいと思います。
最後に
食パンやクラッカーに塗るだけと思われがちのベジマイトですが、このように簡単にいろいろなアレンジが楽しめます。
他にもたくさんのレシピがあるので興味のある方はベジマイトのホームページをご覧ください。
この機会に苦手意識をなくして「ベジマイト生活」始めませんか?
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