世界地図を広げたとき、オーストラリア大陸の下にちょこんと浮かんでいるハート型の島、タスマニア。
広大な面積を誇るオーストラリア本土と比べると、ついつい見逃しがちなタスマニア島ですが、タスマニアの魅力はなんと言っても、その豊かな自然です。
タスマニアは、島の約36%がナショナルパークや保護区になっており、その中でも特に世界自然遺産に登録されてるCradle Mountain (クレイドル山)やLake St Clair National Park(セントクレア湖国立公園)がとても有名です。
オーストラリアは砂漠の広大な国というイメージですが、タスマニアには緑も多く、山に囲まれた長閑な風景は、日本の田舎を思い出させる風情もあり、日本人にとっても親しみやすい島なのではないかと思います。
今回は、オーストラリアを訪れた際には、ぜひ足を伸ばしてみてほしい島、タスマニアのロードトリップについて紹介したいと思います。
タスマニアへのアクセス
タスマニアへの一番お手軽なアクセス方法は、メルボルンからタスマニア州の州都であるホバートまで1時間程、飛行機での移動がお勧めです。
シドニーからも飛行機で1時間45分と近いため、シドニーやメルボルン等の大きな都市に住んでいる人たちが、週末のプチリラックス旅行でタスマニアを利用することもあり、飛行機は頻繁に運行しています。
オーストラリア本土と比べて、小さいとは言えども、タスマニアは北海道ほどの大きさがあります。
そのため、タスマニアの島全体をぐるっと一周、観光をして回るには、1週間程度ゆっくりと予定を組まれるのがお勧めですが、週末プラスアルファでの、短期休暇であっても十分に楽しめる観光スポットがいっぱいあります。
- メジャーな国立公園
- ローカルにも大人気のSalamanca Market(サラマンカマーケット)
- 世界的にも斬新なミュージアムとして知られているMONA美術館
- エメラルドグリーンの海とオイスター
「なかなか長期のお休みが取れない」「他にもオーストラリア内で色々行きたい場所がある」といったような方に、3泊4日でも十分タスマニアの魅力を味合うことができるプランをご紹介します。
1日目:ホテル周辺の観光
タスマニア観光に欠かせないのがレンタカー。
ホバート空港は、こじんまりしたとてもシンプルな空港ですが、観光の足、レンタカー会社のサービスデスクは空港に数社ほど常在しているので、空港でレンタカーをピックアップするのが便利だと思います。
まずはホテルへ
まずは、ホバート観光での拠点にお勧めなのは、歴史のあるラグジュアリーホテルMACq01です。 全ての部屋がオーストラリアの歴史に沿った異なったテーマで飾られており、市内中心地へもサラマンカマーケットへも徒歩圏です。
ホテルそのもののサービスの質も、非常に高いですが、ホテル内に複数併設している品の良いレストランやバーだけでなく、その他にも評価の高いレストランがホテルの周りに点在しており、ホバートのマリーナビューとタスマニアの新鮮な食材を楽しむのにはベストロケーションです。
ホテルに荷物を置いたら、早速歩いて5分のサラマンカマーケットへ。 ここのマーケットの目玉は、タスマニア原産の新鮮なフルーツや野菜、オーガニックの卵、スパイス、ハチミツなどの新鮮な食料品です。
また、世界的にも人気が高まりつつあるアルコールのジンですが、その中でも、国際的な賞を取ったジンや、タスマニアでしか購入できないジンなど、様々な種類のジンが販売されており、年齢を問わず、人気が高いようです。
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マーケットの周りのバーで、それらのジンを使用したカクテルを出しているお店もあります。
専用のバー兼蒸留所をホバート市内に持つMcHenryや、唐辛子が入った7K Distillerのジンは、日本ではなかなか手に入らないユニークなジンですので、お土産に喜ばれるのではないでしょうか。
ブランチは、マーケットの近くのBall& Chain Grillという1830年に建てられた歴史的な建物で、タスマニア産のサーモンを味わってみてください。
午後は、MONA美術館への道すがら、ホバートのランドマーク的な存在のWellington Park(ウエリントン山)に、車で登って見ましょう。
標高1270メートルの山頂に展望台があり、ホバート周辺が一望できます。
空気がとても澄んでおり、遠くまで続く緑の山々を見ることができ、マイナスイオンを体いっぱいに感じれるスポットです。
ハイキングやキャンプ等のツアーもあるので、アウトドアが好きな方はじっくり滞在されてみるのも良いかもしれません。
MONA美術館へ
ウエリントン山から車で1時間半程度で、River Derwent(ダーヴェトン川)のほとりに立つMONA美術館に着きます。
ホバートからボートで行くツアーもあり、ボート上でカクテルを楽しめるツアーパッケージもあるため、40分という限られた時間ではありますが、景色を眺めながら、優雅にボートでの旅を楽しむのもお勧めです。 MONA美術館は、正式名称をmuseum of Old and New artと言い、非常に前衛的なアートコレクションが集まっていることで、世界的にも有名な美術館です。
他には類を見ないような、人間の五感全てに訴えてくるような様々な仕掛けが作品に施されており、美術館自体がアートのような空間です。
美術館内部には、おしゃれなバー、カフェ、レストランがあり、広い美術館内で疲れてしまっても、アートな空気を堪能しながら、ー休みできるようになっています。
中でも、水辺に接するように設けてあるレストランは、ワインもお食事もとても美味しく、人気のレストランなので、ランチの予約をあらかじめ取っておくのがお勧めです。
自宅のリビングのように心ゆくまでゆっくりと寛げるレストランで、忙しい日常を忘れて、しっかりリチャージできるはずです。 見応えのある美術館でゆっくり3時間程度過ごしたあとは、ホテルの近くに戻ってきて、At Peacock and Jonesというオーストラリア料理のレストランへディナーへ。
ホテルの真横に位置する古い歴史のある建物の中にあるレストランで、とても利便性が高い上に、味もサービスも群を抜いています。 食事の後は、At Larkという名前のジンバー兼蒸留所に立ち寄って、有名なタスマニア産のジンと暖炉の前でくつろぎながら、明日の国立公園へのドライブに備えます。
2日目:セントクレア湖へ
朝早く起きて、クレイドル山/セントクレア国立公園のセントクレア湖セクションへ向かいます。
合計で2時間半程度のドライブですが、途中小さなカフェに寄ったり、ハイウェイのそばにある露店でフルーツを購入したりしながら、朝食がてらのドライブで、2時間半もあっという間です。
入園パスは、公園の入り口にて、AUD24で購入できます。
8週間以内であれば、タスマニア中のどの国立公園へも入園し放題ですので、長く旅行をされる方にはお得です。
クレイドル山/セントクレア国立公園にいく方法
- Launceston(ロンセストン)という都市から1時間半程度のSheffield(シェフィールド)という町からクレイドル山
- ホバートから2時間半のDerwent Bridge(ダーウェント・ブリッジ)からセントクレア湖
今回は日程も短いため、ホバートから近いセントクレア湖セクションに立ち寄って見ました。
因みに、この2つの入り口を横断するトレッキングコースは6日間を要する全長65kmのコースです。
体力に自信がある人は挑戦してみると、タスマニアの自然や野生動物と更に触れ合うことができるのではないでしょうか。
セントクレア湖は、オーストラリアで最も深い湖で、氷河によって削られて作られたと言われています。
トレッキングのルートが複数個かありますので、それぞれの体力に合わせて選んでみると良いでしょう。
一番人気なのがWatersmeet Nature Rail(ウォーターズミート・ネイチャー)トレイルです。
タスマニアのユニークな自然を楽しみながら、森を抜け、セントクレア湖に注ぎ込む2つの川が合流する地点まで、往復で45分程度のトレイルです。
フォトジェニックなホテル
お宿は、折角なので、国立公園内にあるロッジ「ポンプハウス・ポイント(Pumphouse Point)」に宿泊しましょう。
このロッジは、オーストラリア国内外からとても注目されているホテルの一つで、湖に浮かぶ浅瀬の先端に立つ、古い水力発電所を改築して建てられた、非常にフォトジェニックなホテルです。 全12室しかなく、人気のためとても予約が取り辛いですが、本当に1泊では勿体無いくらい素敵なロッジで、自然の中で十二分に英気を養うことができる場所です。
このロッジの特徴は、デザインだけではなく、独特なディナースタイルにもあります。
ディナーでは宿泊客全員が大きなテーブルを囲んで、仲良く話をしながら、タスマニアの地元食材に舌鼓を打つという独特な経験ができます。
客室も、細部までこだわった心地よい空間で、窓からセントクレア湖の澄み渡った水面を眺めながら、静寂の中、心ゆくまで休むことができます。
3日目:ブルニー島へ
ポンプハウス・ポイントで、タスマニア産のチーズや焼きたてのパンなど、ディナーにも負けず劣らずの豪勢な朝食を頂いた後は、ロッジでボートをレンタル。
前日とはまた違った、湖からの景色を楽しむことができます。
湖の周りにそびえたつ山々を見ながら、透明度抜群の湖をボートで横断するのは、トラッキングトレイルを歩いてる時とはまた違ったタスマニアの自然の美しさを堪能できます。
ベストシーズンは夏ですが、冬も雪化粧をした山並みや、運がよければオーロラを見ることができたりするチャンスもあるそうで、四季折々の楽しみ方ができそうです。
ボートで湖を満喫した後は、ロッジの自転車を借りて、周辺を散歩することもできます。
ロッジの周りでも、ワラビーや、ウォンバットやハリネズミなどの野生動物に出会うことができ、本当に大自然の中に身も心もじっくり浸れる1.5日間になることでしょう。 ランチの後は、ホバートの更に南に位置するBruny Island(ブルニー島)へ向けてドライブを開始します。
ホバートまで2時間半かけて戻った後、ホバートを通りすぎ、南へ約1時半、更にカーフェリーに乗って15分、南極に一番近いと言われるブルニー島に到着です。
長距離ドライブの疲れを癒し、次の日のブルニー島探索に備えて、宿泊先のSunset Bay Escape(サンセット ベイ エスケープ)へ直行。 このロッジからの眺めも絶景です。
ロッジの部屋からは、緑に囲まれたブルニー島とその向こうに見える青々とした海が180℃見渡せます。
ディナーは、近くのレストランで、タスマニア産のシーフードを地ビールと一緒に味わうのがおすすめです。
4日目:ブルニー島の1日観光
ジューシーな地元産のオイスター
ブルニー島に足を伸ばすべき理由の一つに、ジューシーな地元産のオイスターがあります。
この島は生ガキの養殖場が多くあることで有名で、採りたてのオイスターを、1ダース2000円くらいで食べれることができます。
数あるお店の中には、忙しい(?)観光客のために、ファーストフード店にあるようなドライブスルー窓口まで設置されているのが、ユニークです。
The Neck Lookout
お腹がいっぱいになったところで、良い運動になるのが、次の見どころThe Neck Lookoutです。
ブルニー島の「首」にあたる部分に位置する展望台で、北と南の島を繋ぐ浅瀬の両側に広がるエメラルドグリーンの海と真白な砂浜のコントラストが非常に美しく、写真撮影スポットとしてとても人気です。
夜にはこのビーチでペンギンを見ることもできます。
ワイナリーもある!
ブルニー島には、ホバートからの日帰りグルメツアーが催行されるほど、食の魅力に溢れた島で、オイスターのお店だけではなく、おしゃれなワイナリーも複数あります。
一番のお勧めは、Bruno Island Premium Wines(ブルニー アイランド プレミアムワインズ)です。
こじんまりとした、おしゃれなワイナリーで、隣にレストランもあるので、ランチにもピッタリのワイナリーです。
帰り道は、灯台のあるCloudy bay(クラウディ ベイ)や、Cape Queen Elizabeth(クィーンエリザベス岬)をぐるっと回って、チョコレートやチーズの製造会社のかわいいカフェにも立ち寄りながら、見どころ満載なブルニー島の1日観光を終了です。
最後に
タスマニアを実際に訪れて感じるのは、人々の大らかさ。
有名なエピソードに、オーストラリア国内の教科書でさえ、度々地図にタスマニアの存在を含めるのを忘れてしまい、謝罪と差し替えに追われるというアクシデントがほぼ毎年起きています。
タスマニアの人たちは、そんなアクシデントも、自ら笑い話に変えてしまうような懐の大きなユーモアを、この独自の自然と、ゆったりとしたライフスタイルの中できっと育んできたのだなと肌で感じました。
タスマニアは島自体が大きなヒーリングスポットの様な島です。
忙しい日常に疲れて、一息つきたくなった時には、ぜひタスマニアを訪れて、タスマニアの大自然から、エネルギーをもらってみて下さい。